男性向けサークル。かなりの小手。一昨年の冬コミ前の話。

深夜一時になり、テンションが段々あがってきたところ、突然チャイムの音がした。
誰かと思って覗いてみるとまったく知らない、筋肉少女隊が好きそうな女が立っていた。
俺「誰？」
女「私です」
俺「誰？」
女「あの・・・私です」
俺「誰？」
女「あの、ですから、私です」
面白くなってきたので、そのまま五六回繰り返した。女は相変わらず蚊の泣くような声で私です、と繰り返すだけ。
俺「誰？」
女「・・・あの、○○さんのファンなんです」
俺が書いているのはフェミニスト団体に見せたら卒倒しそうな猟奇エロ漫画。
俺「何のよう？」
女「あの・・・泊めて頂けませんか？」
俺「イヤだ」
女「・・・はあ、あの、泊めていただけませんか？」
俺「駄目だ」
また五六回繰り返した。
女「私、ホントに○○さんのファンなんです。××の頃からのファンなんです」
××は俺のはじめての同人誌。当時流行っていたロリコンアニメの主人公の体で虫を飼う話。地方のイベントで十部程しか売れなかった。お客さんをほとんど覚えているが、この女がスペースに来た覚えはない。全員男だったはずだ。
俺「そんな女の人はイヤです」
女「あの、お願いします。今夜泊まるところがないんです」
俺「適当にホテルでも行って下さい」
女「ホントにお願いします。今夜泊まるところがないんです」
俺「どっか公衆トイレでも行って下さい」
しまたもや五六回繰り返した後、女は遂に諦めた。
女「わかりました・・・あきらめます・・・この辺りに漫画喫茶とかありませんか？」
俺「月はどっちに出てます？」
女「・・・」
女は去っていった。

今年の話。夏コミ前日。

深夜三時頃。興奮して部屋の中をうろうろしている。夏コミ前はいつもこう。
ぴんぽーん
女：あの・・・
俺：誰だ！
女：私です・・・
ここでこの女が前に来た女であるということを思い出す。
俺：あっれはー誰だ、誰だ、誰だ。
女：あの、ですから、私です。
かなりハイテンションだったので、女の言葉に吹き出してしまい、思わず扉を開ける。
俺：オーケー！ユニット組もうぜ、ユニット！名前は・・・そうだな・・・
女：あの・・・
俺：太陽誘電ってのはどうだ？
女：すいません・・・泊めてくれませんか？
俺：そーだなー、アンタの名前は？
女：鈴木（仮）・・・。
俺：住所は？
女：○○○○○○・・・。
以下女のプロフィールを詳細に尋ねる。何の躊躇もせずに言う女。女の話によれば、
北大生らしい。夏コミにはどうしても行きたいのだが、金が無く、昔からのファン
である俺を頼ろうとしたらしい。
俺：そーか、するってえとアレだな、キミは女の腹に虫をぶち込んで飼ったり同窓会で幼女の
兜焼きを食べたりフジヤマッチョ真っ青のマッチョが生きたまま解剖されたりする幻想たっぷ
りフェチズム満載のサイコ漫画が好きなサイコ読者ってえわけだな？
女：・・・あの・・・やっぱり・・・いいです・・・
俺がおかしいことが段々飲み込めてきたらしい。
俺：まあ待ちタマエよワトソン君。お互いサイコ同士、サイコ漫画について熱いトークを
しようじゃないか。でさあ、やっぱりさあ、幼女の体で言うとさあ、どこが一番好き？
女：あの・・・ほんとうに・・・もういいですから。
俺：俺はさあ、やっぱりさあ、お腹なんだよねえ、こうなんていうかさあ。
女：あの・・・私、帰ります。
去ろうとする女。追う俺。
俺：やっぱりさあ！腹を出刃で引き裂いてさあ！臓物を引きずり出してさあ！
走り出す女。走り出す俺。
俺：重要なのはさあ！温度なんだよね！やっぱり！暖かい！感じ取る温度！
駅まで追いかけた。結局警察に捕まることに。深夜に出歩く俺を五六回事情聴取した顔見知りの警察のおっさんは
「あのね、キミね、物事には限度っちゅーもんがあるでしょ」
二時間ほどで解放される。別れ際女が言う。
女：あの・・・泊めてくれませんか？
結局夏コミ期間中泊めてやったりした。二三発やったりもした。

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